営業/マネジメント

ストレッチゴールとOKRって何?Google流、社員教育を学ぼう【目標設定~OKR~編】

人は目標設定1つで生産性が飛躍的に向上することがある。

目標設定法で有名なものと言えば「SMARTの法則」が挙げれらるであろう。

(SMARTの法則は以下で解説しています。)目標設定は必要か?SMARTを軸に解説します【マネジメント】

適切な目標であればあるほど、成果に繋がりやすいというものだ。

しかし、世界の目標設定法は「SMART」だけではない。

有名なものに「OKR」という目標設定法がある。

OKR」とはかの有名なGoogleでよく使われている目標設定の一種である。

今回は部下やチームの目標設定に悩むすべての方に「OKR」の概要と実際の活用法について解説していこう。

1.OKRの概要

OKRとは、「目標と成果指標(Objectives and Key Results:OKR)」の略称である。

目標設定と成果指標を決め、パフォーマンスの最大化を図っている。

具体的なルールを伝えると、

【OKRのルール】

●目標:あえて高いレベルに設定する。

●成果指標:数値化して、定量的評価ができるように設定する。(Google では 0~1.0 の範囲で設定しています)

OKRは組織全体に公開し、だれでも見れる状況にすること。

【OKRの理想】

OKR では、目標の 6070% の達成率が理想的である。逆に、達成率が常に 100% の場合、その OKR の設定レベルが低いと言えるので、もっと野心的な目標を立てる必要がある。

OKR の狙いは、簡単に達成できないような目標を設定することである。

こうした方法で OKR を使用すると、チームは大きな目標を見据えて専心し、完全には達成できなくても予想外の成果を挙げられるようになる。

チームや個人が自らの殻を破り、仕事の優先順位を判断して、成功と失敗の両方から学ぶことができる点が、OKR のメリットと言える。

2.OKR の歴史

インテルの元 CEO アンディ・グローブ氏は、OKR のような「目標を共有するシステム」構築には以下2点が必要がある、と述べている。

アンディ・グローブ氏が掲げる2つの問い

➊自分は何を目指したいのか。(目標)

➋目標までの到達度をどのように測ればよいか。(成果指標)

また、当初から Google に出資してきた投資家の 1 人ジョン・ドーア氏は、インテルに勤めていた当時にアンディ・グローブ氏から OKR について学んだ。

ドーア氏は 2000 年代初めに、OKR を Google に導入する。

OKR は今やアメリカのシリコンバレーの IT 企業にとどまらず、さまざまな組織で採用されているスゴイ目標設定法だ。

フォーチュン 100 に名を連ねる Sears Holdings Corporation では、20,000 人の従業員に対して OKR を導入した結果、最終売上と個人の業績で成果が表れている。

3.ストレッチ ゴール

「ストレッチゴール」とは、自身が可能と考えるより高い目標を設定することである。

高すぎる目標は、チームを失敗に導いているのではないかと見られる可能性があるため、注意が必要である。

しかし、このような高すぎる目標は優秀な人材を引き付け、職場に活気をもたらすケースも多い。

さらに、仮に達成できなかったとしても、試行錯誤回数の増加により圧倒的な成長を遂げられるケースも少なくはない。

ここで重要なのは、「ストレッチゴールの性質」「成功か失敗の判断基準」を明確に伝えることである。

Google では、なんと目標を 70% 達成できれば成功と言えるような OKR を設定している。(ここがとても重要)

70%で成功という中で、100%以上の成績で達成した場合は驚異的な成果と見なされる。

70%でもいいという理由は(ここも重要)、OKRは実績を評価するためのツールではないということだ。

言い換えれば、評価の手段ではないということだ。

そのため、OKRの結果を評価に組み込みべきではない。

むしろ、成果を出すことや成長の促進に振り切った目標設定法だといえるであろう。

4.組織に OKR を導入する

OKR で重要なことは、「透明性」である。

OKR を組織に導入する際は、以下を明確にしておく必要がある。

➊OKR とは何か

➋なぜそれが有用か

➌どのように使用するのか

「SMARTの法則」でも重なるが、納得した目標を目指すと、人は高い実績を上げられる可能性が高くなる。そのため、全員が積極的に目標に関わることが重要である。

導入前の説明責任はリーダーにある。

まずリーダーが自身で導入の目的を理解しきってから運用するようにしよう。

また、導入にあたって以下の点に留意すべき必要がある。

OKR導入にあたって留意すべき3つの点

➊認識の統一。OKR の導入により、組織にとって何が重視されており、達成の有無がどう判定されるのかを全員が理解することで、各自の課題と組織の目標を結びつけるのが容易となる。

➋規律と優先順位。最も重要な目標について全員で合意すると、それより重要度の低い案に対して異を唱えることが容易になる。

➌コミュニケーション。OKR は組織内で公開し、組織の目標と成果指標をすべてのメンバーに周知する必要がある。

 

5.目標と成果指標の設定方法

目標と成果指標の具体的な設定方法は以下である。

35 個の目標を立てる。

目標が多すぎるとチームにとって過度な負担になり、集中できなくなることがある。

定量的な目標設定をし、できたかできていないかが可視化できるようにする。

具体的かつ客観的な言葉を使用する。目標の具体性が高いほど、達成できる割合も上がる。

それぞれの目標について成果指標を 3 個ほど設定する。

計測可能で、実現により目標達成に結びつく指標にする。

行動ではなく、行動の成果を定義する。(例:「システムを作る」ではなく「1月1日までにシステムを完成させる」)

行動の成果も完遂の証拠が残っているものである必要がある。

全体で優先順位を決める。

3~5個の目標と1つの目標に対してさらに3~5個の成果指標が決まれば、次は優先順位決める。

6.OKR の落とし穴

設定した OKR が不適切な場合、混乱を招く恐れがある!

設定する際は、次のような事例に注意しましょう。

1.別のチームと関わるケース

ストレッチ ゴールの設定では、その実現に取り組むチームはもちろん、目標達成の一環である仕事にかかわる他のチームとも、十分なコミュニケーションをとる必要がある。

自分のプロジェクトが他のチームの目標と関係がある場合は、その目標設定の方針をしっかりと理解しておく必要がある。他のチームがストレッチ ゴールを設定している場合、そのチームの OKR は 70% 程度実現されるものと考えておこう。

2.「現状維持でよし」的なマインド

現在やっていることを一切変更せずに達成できそうな目標を設定してしまう場合がある。

優先度の低い目標は取り消して、重要な目標にリソースを配分し直す必要がある。

しかし、ときとして、同じ目標(たとえば「顧客満足度が XX% を下回らないようにする」など)を複数期間にわたり設定し続けることもある。

それが常に優先すべき事柄であれば、OKR の目標として問題はない。しかし、チームが革新を続けて効率を向上させていくためには、成果指標を発展させていくことが必要である。

3.意図的に実力を隠す

メンバーの力を結集しなくても OKR をすべて達成できているチームは、リソースを十二分に活用していないか、高い目標を掲げていないか、あるいはその両方の可能性がある。

4.目標の価値が低い

目標の価値が低いと、たとえそれが完全に達成されたとしても組織に大きな違いは生まれません。

合理的な状況で OKR を 100% 達成できたと仮定して、組織に直接利益がもたらされないようであれば、具体的な利益に焦点を絞り OKR を作成す必要がある。

7.OKRの評価

OKR の評価方法

Google では通常、OKR 0.01.0 の数値で評価する。

○1.0 は、目標が完全に達成されたことを表す。

例えば、成果指標が「新しい販売キャンペーンを開始する」だった場合、最終的な結果は「開始したかどうか」なので得点は 0 か 1 のどちらかになる。

一方、成果指標が6 つの販売キャンペーンを開始する」であれば、3 つだけ開始できた場合の OKR は 0.5 と評価する。

OKR の評価において考慮すべき事項

OKR の最適な達成率はおおよそ 6070%である。

これより低い場合は、その組織が十分な成果を上げていないことを意味する可能性が高い。

これより高い場合は、設定した目標が低すぎた可能性がある。

Google 0.01.0 の評価法では、すべての OKR の平均点が 0.60.7 に収まるのが理想である。

8.最後に

OKR を初めて導入するときは、違和感のある目標を設定して「達成できない」ようにすること自体に違和感を覚えるかもしれない。

高すぎる目標は、時に「やる気」を削ぎ、生産性を下げることに繋がる可能性もある。

だからこそ、「OKR」のような目標設定をする際は、事前に意図やメリットを明確に理解し説明しておく必要があるであろう。

手が届かなそうな目標に対しても全員が「やってやろう」という気持ちを持てている組織は強い。

まずはGoogleが最重要視している「心理的安全性」を整え、全員が迷いや不安もなく業務に集中できる環境を整えていこう。

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Googleの「心理的安全性つくり」や「生産性向上術」は下記を参考にしてください。

Google流、社員教育を学ぼう【マネージャー編】

Google流、社員教育を学ぼう【チームマネジメント編】

ABOUT ME
青雉
1988#japan 大学時代に半年間バックパッカーを経験。大学卒業後、新卒で少数精鋭の中小企業に就職。社員数は全国でわずか40名弱ながら、所属営業マン全員が年収1000万円を超えるエリート集団の中でひたすら揉まれる。 人間としての生活は許されず、過酷な日々を耐え抜くも1年半で退職。その後、社員数1000名のベンチャー企業に転職。前職の過酷な営業経験が活かされ、入社初月で「新人王」、半年で役職に就く。2年後には管理職になり、現在は役員を目指し今日も勉強中!

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