営業/マネジメント

あのGoogleが掲げる優れたマネージャーに共通する「10」の行動規範【マネジメント】

Googleの研究チームが明かす【優れたマネージャーの要件】に関して解説していきます。

当てはまっているところもあれば、当てはまっていないところもある可能性があるため、自身のマネジメント活動に活かせるよう参考にして頂ければと思います。

まずはじめにGoogleでは【優れたマネージャー】を定義するためには以下の2つの評価軸があるとされています。

1.マネージャーの業績評価。
2.1回実施される社員アンケートからのフィードバック

このデータによって、マネージャーの重要性が明らかとなり、有能なマネージャーがいるチームは、満足度も生産性も他に比べて高いという結果が出たということです。
Googleの研究チームは、以上の2つの評価軸から評価の高いマネージャーに共通する 10 の行動規範を以下として定義しています。

Googleが定義する優れたマネージャーに共通する10の行動規範

①良いコーチである
②チームに任せ、細かく管理しない
③チームの仕事面の成果だけでなく健康を含めた充足に配慮しインクルーシブ(包括的)な環境をつくる
④生産性が高く結果を重視する
⑤効果的なコミュニケーションをする(人の話をよく聞き、情報を共有する)
⑥キャリア開発をサポートし、パフォーマンスについて話し合う
⑦明確なビジョンや戦略を持ち、チームと共有する
⑧チームにアドバイスできる専門知識がある
⑨部門の枠を越えてコラボレーションを行う
⑩決断力がある

というものです。では、1項目ずつ分解していきます。

①良いコーチである

優れたマネージャーは優秀なコーチであることが明らかになっています。

GROW モデルによるコーチング
Google採用されている教育のフレームワークで、GROW モデルというものがあります。GROW モデルとは、以下の単語の頭を文字を取り総称されている教育モデルです。

Goal(目標の明確化)求めるものは何か
Reality(現状の把握)何が起こっているか
Option(選択肢の検討)何ができるか
Will(意思の確認)何をするか

これらを、1 対 1 ミーティングの実施などを実施することにより、チームメンバー(従業員)の主体性を促進し、自主的に行動するように働きかけています。

Googleが行っている1 1 ミーティングの実施のルールを以下に列挙しておきます。

①定期的にミーティングを開く

  • 毎週または隔週で 3060 分、決まった時間に行う。
  • 1 1 ミーティングは会議室や自分の席ではなく、オフィスの外で行う。

②議題を決める

  • アジェンダを作成。作成にはマネージャーとチームメンバーの双方が関わる。
  • 障壁や課題について
  • 目標のアップデート
  • アドミン業務に関するトピック(休暇の予定、経費報告など)
  • アクションと合意項目を確認するための次のステップ

1 1 で会う

  • 開始時刻と終了時刻を守る
  • できるだけアジェンダに従う
  • ミーティングに集中する
  • 意見を求める
  • やるべきことと次回の 1 1 ミーティングで話し合うことを確認する。
  • 「ほかに何かありますか?」と尋ねる(後からいい質問が出てくることがよくあります)

②チームに任せ、細かく管理しない

優れたマネージャーは、チームに権限を与え成長させ伸ばすために、以下の4つの行動を行う。

  1. 細かく管理しない。仕事をチームに任せ、新しい取り組みを主導するチームメンバーをサポートする。
  2. 自由にやらせつつも必要に応じて助言をする。ある Google 社員は、マネージャーが自分のチームをサポートする様子を次のように語っています。「目的に向かって自由にやらせてもらえますが、口を挟むべきタイミングを心得ていて、うまくいかない問題は必要以上に追わないよう助言してくれます」。
  3. チームに対する信頼を明確に示す。チームメンバーに権限を与え、自分を通さずにプロジェクトに関する決断を下せるようにします。マイクロマネジメントを避け、チーム内に信頼と責任の文化を浸透させます。
  4. チームの成果を周囲に伝える。マネージャーは、チームが達成した成果を自分の上司を含むその他の人にも伝えるようにします。自分がチームのために働いているのであり、チームが自分のために働いているのではないことを理解している人こそが、優秀なマネージャーであると言えます。

また、信頼関係を構築するために以下も行っていく必要があります。

  1. 意見を求める。意思決定プロセスにはチームにも関わってもらいます。
  2. アイデアや知見を求める。マネージャー自身の仕事のやり方を改善して効果を高める方法についても意見を求めます。
  3. 肯定的なフィードバックを行い関係を強化する。リーダーシップを発揮するなど、チームメンバーが何か優れた貢献を行ったときに、その成果を称え、肯定的なフィードバックを行います。
  4. リーダーを育てる。仕事をチームメンバーに任せ、特定のプロジェクトに関する権限を与えます。こうすることで、自分が組織にとって価値ある存在だと感じさせることができます。成果を上げているチームメンバーにプロジェクトを担当させて個々の仕事のリーダーにすると、マネージャーの負荷が軽減されるだけでなく、チームメンバーが活躍できるチャンスにもなります。
  5. 各チームメンバーの能力を伸ばす。どのようにしたらそれぞれのチームメンバーが自身の強みを生かして成長し、組織に貢献できるかを探ります。責任の大きい仕事を割り当てることでチームメンバーを成長させれば、メンバーのやる気を引き出すことができます。そのメンバーのことを高く評価し、能力を認めているというマネージャーの気持ちが本人に伝わるからです。仕事を割り当てたら、その理由とメリットについて説明しましょう。
  6. チームメンバーにコーチングする。メンバーを成功に導くためのコーチングに焦点を当てます。チームや会社の目標だけでなく、個人的なキャリア目標も達成できるようにサポートしてください。1 年後、5 年後に各チームメンバーがどうなっていたいかを把握し、成長と成功に必要なものを提供します。
  7. オープンなコミュニケーションを推奨する。マネージャーとチームメンバーの双方が、目標、プロジェクト、アイデアについて、明確に話し合えるようにします。チームメンバーが自分の意見を言いやすく、新しいアイデアを試しやすい環境を作ってください。チームメンバーにはブレーンストーミングに積極的に参加してもらい、意見を出したメンバーを称賛してください。
  8. チームメンバーへの信頼を示す。メンバーが毎回細かいことをマネージャーに確認せずにすむよう、プロジェクトを完了させるために必要となる権限を与えます。

③チームの仕事面の成果だけでなく健康を含めた充足に配慮しインクルーシブ(包括的)な環境をつくる⑥キャリア開発をサポートし、パフォーマンスについて話し合う

優れたマネージャーは仕事だけではなく、個人的な面もサポートしてくれます。

例えば、昇格や異動、キャリアチェンジ、スキルの習得などです。

部下のキャリアを話合う上で、Googleで採用されてるのが 先程も登場したGROW モデルです。

GROW モデルを活用した1on1時の会話のフォーマットは以下となります。

Goal:目標の明確化

チームメンバーがキャリア形成の先に見据えているものを特定します。

  • 「1 年後、5 年後、10 年後の自分はどうなっていると思いますか?」
  • 「収入や現在のスキルの制約がないとしたら、どのような仕事に就きたいと思いますか?」
  • 「興味、価値を置くもの、原動力となっているものは何ですか?」
Reality:現状の把握

チームメンバーの現在の役割とスキルを理解します。

  • 「現在の業務で最もやりがいを感じること、あるいは、ストレスを感じることは何ですか?」
  • 「現在の業務はやりがいがありますか?能力を伸ばせていますか?どうしたらさらにやりがいを感じられますか?やりがいのない業務は何ですか?」
  • 「自分の長所と短所について、他の人からどんな指摘を受けたことがありますか?」
Option: 選択肢の検討

目標と現状のギャップを埋めるための方法を複数考えます

  • 「以前話し合った目標達成のためのスキルを磨くのに、今できることは何ですか?」
  • 「自分を伸ばすために、どのような仕事やプロジェクトに挑戦したいですか?また、どのような経験をしたいですか?」
  • 「選択肢として、どのようなネットワークやメンターシップがありますか?」
Will: 意思の確認

現状から目標に向かうための実現可能なステップを特定します。

  • 「何を、いつまでに行いますか?」
  • 「役に立つリソースは何ですか?目標達成のために役立つスキルは何ですか?」
  • 「どのような支援が必要ですか?自身のキャリア形成について、マネージャーやリーダーからどのようなサポートを受けたいと考えますか?」

④生産性が高く結果を重視する⑧チームにアドバイスできる専門知識がある

優れたマネージャーは、チームが具体的な成果を上げられるようにサポートすることを重視しています。

マネージャーの重要な役割の 1 つは、チームメンバーに起こりうる障壁を予測し、取り除くようにサポートすることです。
専門スキルを持つマネージャーは、チームメンバーに寄り添ってその力を発揮することにより、信頼できるアドバイザーとなります。これによって、自らのスキルを向上し続けられると同時に、マネージャーが単なるリーダーではなく、チームのいちメンバーであるという重要なメッセージを伝えることもできます。

効果的なマネージャーは、「自分はチームのために働いている」のであり、その逆ではないことを自覚しています。ある Google 社員は自分のマネージャーについて次のように語っています。「成果を上げるために必要なことを全員が行えるようサポートしてくれます。それと同時に専門分野に関する知識もとても豊富なので、必要があればチームが問題を解決するのを手助けしてくれます。」

Googleの効果的なマネージャーがチームの生産性を維持し、結果を出すために行っていることを以下に列挙しておきます。

  • チームには常に結果を重視させる
  • チームによる優先順位付けをサポートする
  • 障壁を取り除く
  • 誰が何に取り組んでいるかを明確にする
  • 懸命に働き、チームの指針となる
  • チームの傍らで懸命に働く
  • 問題点を把握する
  • 専門知識とスキルを活かして問題解決をサポートする

チームとともに仕事に取り組むことで、マネージャーは自分の知識をチームに示すことができます。

また、自分のスキルをアップデートし続けることにもつながります。そして重要なのは、メンバーの仕事に加わることでマネージャーが単なるリーダーではなく、チームに参加しているというメッセージを伝えられることです。

マネージャーがチームのために働いているのであり、チームがマネージャーのために働いているのではないことを理解しておく必要があります。

⑤効果的なコミュニケーションをする⑦明確なビジョンや戦略を持ち、チームと共有する

優れたマネージャーは明確なビジョンを設定しています。

Googleビジョンを設定する目的を以下の3点としています。

  1. チームの成功に不可欠
    Google のマネージャーは、「魅力的なビジョンをチーム内で共有することはチームの成功に不可欠です。1 つのビジョンを持つことで全員がこれに集中し、同じ方向に向かって進むことができるからです。逆に、ビジョンがないと集中力が削がれてチームとしての勢いがなくなり、大きな打撃となります。」と言っています。
  2. メンバーは、自分たちがどこに向かっているのかを知る必要がある
    チームとしての明確なビジョンを持つということは、チームメンバーの誰もがチームの目標、進捗、成功のイメージを把握していることだということです。
  3. チームがやるべきことを決める際に役立つ
    評価の高い Google のマネージャーはビジョンを伝える際、口頭または書面で、明確、簡潔、率直に伝えます。
    明確なビジョンがあれば、何を優先させ、どこで妥協するかを決めることができます。マネージャーは意思決定を伝える際、それをビジョンと関連付ける必要がああるそうです。

Googleビジョンを設定する際に必要な要素を以下の5つとしています。

  1. コアバリュー
    チームの基盤となる信念を意味し、チームのパーパスとミッションとを導き出す。
  2. パーパス
    チームの存在理由とチームが組織全体に与える影響。もし、自分たちのチームが存在しなかったら、どのような影響があるか考えてみる。
  3. ミッション(何を)
    達成しようとしている目標を表す。
  4. ストラテジー(どのように)
    ミッション達成のために将来にわたって展開する手段を意味する。
  5. ゴール(OKR
    ストラテジーを短期的で達成可能な目標へと落とし込んだもの。チームの取り組みを一つにまとめる働きがある。

上記の要素がビジョンを決める上で必要な5つの要素となっています。

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まとめ

Googleでは「生産性」を高めるために社員に自由な発想と自主的な行動を求める方針で経営やマネジメントを行っています。

社員のレベルやモラルが高い企業においては役に立つ情報ばかりかと思いますが、社員のレベルやモラルが低い企業においては「自由を尊重」しすぎてしまうと逆効果になってしまう可能性も無きにしも非ずとだと感じます。

ケースにもよりますが、自社や環境において有益な部分を取り入れ参考にしつつ経営やマネジメントに活かしていくのがベターと思います。

 

 

ABOUT ME
青雉
1988#japan 大学時代に半年間バックパッカーを経験。大学卒業後、新卒で少数精鋭の中小企業に就職。社員数は全国でわずか40名弱ながら、所属営業マン全員が年収1000万円を超えるエリート集団の中でひたすら揉まれる。 人間としての生活は許されず、過酷な日々を耐え抜くも1年半で退職。その後、社員数1000名のベンチャー企業に転職。前職の過酷な営業経験が活かされ、入社初月で「新人王」、半年で役職に就く。2年後には管理職になり、現在は役員を目指し今日も勉強中!

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